人は両親の持つ先天的素質を持て生まれてきます。そして、これを土台として食べ物・風土・生活環境などにより後天的素質が作られます。また様々な刺激を受けることにより個性・才能そして体質が形成されます。人は様々な刺激に対して常にバランスをとりながら生活をしています。そのバランスの偏りが体調の変化として現れ、変化しやすい傾向が貴女の体質です。今から判定する体質は一人ひとつとは限りません、ふたつの体質が合わさった人もいます。むしろその方が多いかもしれません。バランスを崩す前に傾きを修正するのが薬膳の役割です。重要なのは、薬膳は自分の体質に合わせて作ると言うことです。
人は誰でもバランスを崩しやすい弱点を持っています。骨太でガッチリした人もいれば、きゃしゃで痩せている人もいます。また、熱しやすい人や冷えやすい人、乾きやすい人や湿りやすい人もいます。これらを弱点と考えれば、虚・実・寒・熱・燥・湿の6タイプに分けることが出来ます。
生体不足タイプで、細く、薄い体型にたるみのある、きゃしゃで痩せた人に多いタイプです。このタイプには「寒」を避け「甘」の食材が効果的です。
生体余剰タイプで、太く、厚い、体型に張りがある、骨太でガッチリした人に多いタイプです。このタイプには「熱」を避け「苦」の食材が効果的です。
エネルギー代謝が不足した虚タイプで寒がりの人に多いタイプです。このタイプには「寒」を避け「辛」「甘」の食材が効果的です。
エネルギー代謝が旺盛な実タイプで暑がりの人に多いタイプです。このタイプには「熱」を避け「酸」「苦」の食材が効果的です。
体内の水分が不足して皮膚は乾いて荒れやすい人に多いタイプです。このタイプには「熱」を避け「酸」「甘」の食材が効果的です。
体内に水分が余剰で皮膚が湿ってむくみやすい人に多いタイプです。このタイプには「寒」を避け「辛」「苦」の食材が効果的です。
自然界を陰陽で分けると陰は大地であり、またそれを潤す水です。陽は太陽であり、その熱で大地を温め陰である水を循環させています。自然界の陰陽のバランスが崩れると洪水や干ばつが現れます。自然の一部である人間も陰と陽で作られ、陰陽のバランスが体調の変化として現れます。生体内において陽の尺度は熱で「寒・熱」で現し、陰の尺度は水で「燥・湿」で現します。
陰陽それぞれ過剰な状態が実で、生体内では生理機能が亢進した状態を言います。実タイプでは骨太でガッチリした体格になります。反対に不足の状態が虚で、生体内では生理機能が低下した状態を言います。虚タイプではきゃしゃで痩せた体格になります。
エネルギー代謝が盛んであれば「熱」となり活動的な筋肉質で痩せている人が多く、衰えていれば「寒」となり消極的で太っている人が多くなります。ただし、エネルギー代謝が盛んでもそれ以上にカロリーを摂取すれば太ってしまいます。
生体内に水分が多い状態が「湿」で身体が重だるく、浮腫・めまいが現れることがあります。水分が少ない状態が「燥」で皮膚が乾いて熱感があり不眠が現れることがあります。「湿」は全身に現れることもあり、部分的に現れることもあります。生体内の水分を津液と言いますが、飲んだ水が津液になるわけではなく飲食物が変化して津液になります。
「気」とは「陽」でエネルギーであり生体の生命活動を発現し、また機能を維持し過不足は「寒・熱」となって現れます。「血」とは「陰」で血液で生体の維持、成長に必要な栄養源です。「水」(津液)とは「陰」で水分を媒体として気・血の働きを支えているものであり、細胞内液を維持して生体に潤いを与え過不足は「燥・湿」となって現れます。
さらに、寒・熱・燥・湿タイプに気血水の要素を取り入れると8種類の体質に分けることが出来ます。体調に目立った変調がなく体質に強い偏りがなければ6タイプで、五味・五性による体質に合った食材選びで十分ですが、 変調があり体質に偏りがあれば、さらに詳しい体質の判定を行い、五味・五性に加え作用を考慮した食材・生薬を選びが必要になります。
気滞とは生体のエネルギーである気が滞った状態で、ストレスなど情志の変動により気の停滞を引き起こします。気の滞りを取り除く「理気」「降気」の作用がある食材・生薬が有効です。
実熱とは生体のエネルギーが過剰になった状態で、実タイプで酒・辛い物・油物をとり過ぎると実熱を引き起こします。体内の過剰な熱を冷ます「清熱」の作用がある食材・生薬が有効です。
瘀血とは血液の循環が停滞した状態で、寒で血管が収縮したり熱で血液の粘度が高くなるなど血行不良が原因で引き起こされます。また腸内環境の悪化が瘀血の原因になります。血行を良くし、瘀血を取り除く「活血」「化瘀」の作用がある食材・生薬が有効です。
痰湿とは津液の代謝異常で、痰湿が発生した部位の血液や気の流れを阻害し疾病を引き起こします。また瘀血と痰湿は深く関わっています。湿を取り除く「利水」「化痰」の作用がある食材・生薬が有効です。
気虚とは活力が低下したエネルギー不足の状態です。生理機能を促進し、体力を増強する「補脾」「補気」の作用がある食材・生薬が有効です。
陽虚とは気虚がひどくなり寒証が加わると陽虚になります。「補気」に加えて、エネルギー代謝を促進し、体の内側を温める「補陽」「温中」の作用がある食材・生薬が有効です。
血虚とは生体に血が行き渡らず、栄養を補給する血が不足した状態です。造血機能を促進する「補血」の作用がある食材・生薬が有効です。
陰虚とは血虚がひどくなり津液が失われ、熱証が現れると陰虚になります。「補血」に加えて、不足した体液を補充し潤す「補陰」「生津」の作用がある食材・生薬が有効です。
体質の6タイプの内「寒」「熱」「燥」「湿」のどれかに偏りがあれば偏ったタイプに合う食材を選びます。 4タイプに偏りが無く「虚」「実」のどちらかに偏りがあれば偏ったタイプに合う食材を選びます。また全く偏りが無ければ 今の季節の旬の食材を使いバランスの良い薬膳を作ります。4タイプの隣り合ったもの同士は同時に偏りを生じる場合があります。 その場合は2つの偏ったタイプに合う食材を選びます。また、さらに詳しい体質判定で8体質のどれかに偏りがあれば 4タイプで選んだ食材にプラスします。同じように8体質の隣り合ったもの同士は同時に偏りを生じる場合があります。 また、気滞・瘀血・痰湿は気・血・水(津液)の滞りにより変成した病理産物で、総ての体質と共存することがあります。また熱も滞れば病理産物と考えることができます。 同時にに偏りがあればそれぞれの体質に合う食材または生薬をプラスします。
<memo>
日本には四季があり季節ごとに美しい自然を楽しませてくれます。また、島国で湿気が多いため湿タイプの人が多いのも特徴です。酒や冷たい飲み物は体内の湿を増加させ、湿は熱と結びつくと湿熱となり生活習慣病の下地を作ってしまいます。