先人は自然界に五季があるのと同じように人体内にも暑さ、寒さ、乾燥、湿気があり、時には身体を揺さぶる「風」が吹くこともあると考えました。自然と人は一つと考えれば、生薬を選ぶポイントは薬効と合わせて五季を考慮して選ぶことも重要になります。春は肝と関係が深い季節で、肝には気を巡らす働きがあり、春の持つ強い生命力の高まりに体がついて行けずに精神的ストレスが現れやすくなります。この季節には気の巡りを良くする作用のある生薬が有効になります。夏は心と関係が深い季節で、暑さと湿気で気が消耗すると消化機能が低下します。この季節には体にこもった湿を取り、熱を冷ます作用のある生薬が有効になります。秋は肺と関係が深い季節で、肺は鼻と口をとうして外界とつながっています。また皮膚とも深く関係していて、花粉や風邪のウイルスの侵入口になります。この季節には肺の機能と免疫力を高める生薬が有効です。冬は腎と関係が深い季節です。腎には生命力が宿っていますが、寒い季節には生命力も縮こまり上手く機能しません。この季節には体を補益し、温める生薬が有効になります。
<memo>
生薬は通常の食材と比べ偏性が強く薬効もありますが副作用にも注意が必要です。例えば甘草はよく使われる生薬ですが摂り過ぎるとむくみを生じることがあります。