「気」とは陽でエネルギーであり生体の生命活動を維持し、過不足は「寒・熱」となって現れます。「血」とは陰で生体の維持、成長に必要な栄養源です。「水」(津液)とは陰で水分を媒体として「気・血」の働きを支えているもので、生体に潤いを与え過不足は「燥・湿」となって現れます。食材や生薬は気・血・水に対して、それぞれ作用の異なる性質を持っています。これらの食材や生薬を組み合わせて気・血・水のバランスを整えるのが薬膳の役割です。
補気には臓器の生理機能を促進して体力を増強する働きがあり、気虚体質に有効です。
理気には胸のつかえ感、腹部膨満感などの気の滞りを取り除く働きがあり、気滞体質に効果があります。
降気には咳嗽、嘔吐などの気の上逆を鎮める働きがあり、のぼせ、動悸、目眩などの気滞体質に効果があります。
補血には造血作用を促進して栄養を与え血を補う働きがあり、各臓器への血の供給不足を改善し血虚体質に効果があります。
活血には血行を改善してうっ血を取り除く作用があり、瘀血体質に効果があります。
化痰には血液をサラサラにして血行を改善する作用があり、瘀血体質に効果があります。
補陰には全身に体液と栄養を補う働きがあり、陰虚体質に効果があります。
生津には唾液や胃液などの消化液、涙や汗、関節などの体液を生成する働きがあり、陰虚体質に効果があります。
利水には湿邪の停滞による浮腫、尿量減少を改善する働きがあり、痰湿体質に効果があります。
化痰には痰を取り去る作用があり、呼吸器の痰だけでなく炎症性の粘痰にも作用し痰湿体質に効果があります。
袪湿には湿邪を汗や尿として排泄する働きがあり、痰湿体質に効果があります。
解毒には体内に蓄積した老廃物を取り除くデトックスの作用があり、老廃物を溜め込みやすい実タイプに効果があります。
五臓とは肝・心・脾・肺・腎を指し、肝は胆と心は小腸と脾は胃と肺は大腸と腎は膀胱と深い関係があります。肝・心・脾・肺・.腎は現代医学のそれとは少し意味合いがずれた部分もあります。食材や生薬には五臓に対して、それぞれ作用の異なる性質を持っています。そこで、これらの食材や生薬を組み合わせて五臓のバランスを整えるのが薬膳の役割です。
平肝には肝の機能亢進を抑制する作用があります。
養肝には肝の機能を活性化して各臓器や自律神経の働きを正常に戻す作用があります。
安神には精神不安やイライラ感、不眠など心神の不安を取り除く作用があります。
養心には心の働きを高め赤血球の新陳代謝を改善する作用があります。
健脾には脾の働きを高め消化吸収を促進する作用があります。
消積には食べ過ぎによる消化不良を改善する作用があります。
潤肺のは肺を潤し、空咳などの肺が乾燥した状態を改善する作用があります。
止咳にはせきを鎮める作用があります。
通便には腸の働きを高め、便通を改善する作用があります。
補腎には腎精(腎に蓄えられた生命エネルギーの源)の不足を補う作用があります。
エネルギー代謝が盛んであれば「熱」となり、衰えていれば「寒」となります。邪気に対して生体反応は「寒」「熱」に伴う病状が現れます。そこで、「寒」「熱」のバランスを整える食材や生薬を組み合わせて症状を改善するのが薬膳の役割です。
辛温解表には体表の血管を拡張させて発汗により高熱を伴う病証を改善する作用があります。
辛涼解表には軽い発汗と消炎、殺菌作用により悪寒を伴う病証を改善する作用があります。
散寒には体がぞくぞくして風邪をひきそうなときなどに、体を温めて寒邪を追い出す作用があります。
清熱には体にこもった熱や炎症を取り除く作用があり、実熱体質に効果があります。
瀉火には病的な熱の過剰な状態を改善する作用があります。
涼血には血熱を冷まして体内の炎症を抑え、止血の作用があります。
温中には脾胃を温め冷えからくる腹痛や嘔吐、下痢を改善する作用があります。
補陽にはエネルギー代謝を促進する作用があり、陽虚体質に効果があります。
その他の作用
明目には疲れ目、かすみ目などの目の不調を改善する作用があります。
袪風湿には湿が原因の関節痛などを取り去る作用があります。
止血には出血を止める作用があります。
<memo>
食材や生薬には味や香りなど独特の個性が存在します。人の身体へ及ぼす作用もその一つで、その作用は1個で多くの作用を持つ物もたくさんあります。漢方薬にもよく使われる生姜は化痰・解毒・辛温解表・健脾・散寒・止咳・温中の作用を持ち薬膳にも重要な食材になります。