薬膳作りのポイントは温める食材と冷やす食材を使い分ける事にあります。例えば唐辛子は体を温め、ナスは体を冷やす食材です。一般的に香辛料は温める性質、夏野菜は冷やす性質を持ちます。夏の暑い季節には夏野菜で体を冷まし、冬の寒い季節には香辛料を効かせて体を温めます。
体を温める性質を「温」、作用の強いものを「熱」、体を冷やすものを「寒」、作用の穏やかなな物を「涼」と言い、温める性質も冷やす性質も無いものを「平」と言います。これらの五つの性質を五性と言います。体を冷やす「寒」「涼」の食材は熱が過剰な熱タイプに適しています。体を温める「温」「熱」の食材は熱が不足している寒タイプに適しています。特に体質の偏りのない人は「寒」「熱」のバランスの良い食事に心がけてください。
食材にはそれぞれの個性がありますが「寒」「熱」の度合いは調理法によっても変化します。調理法を生食と加熱食に分けると生食は「瀉」の性質を持ち、加熱食は「補」の性質を増します。さらに加熱法は、(茹でる)<(蒸す)<(煮る)<(焼く)<(炒める)<(揚げる)の順に温性を増します。食材の調理法を工夫することで薬膳の効果をさらに高めることができます。
薬膳は食材の五性を考えて調理することが大切です。目立った体質の偏りがなければ季節にあった食材をバランス良く選び、調理法を工夫すれば十分です。しかし体調に変調があり、体質に偏りがあれば体質と五性の関係に注意して食材・生薬を選ぶ必要があります。
生体余剰タイプで、太く、厚い、体型に張りがある、骨太でガッチリした人に多いタイプです。このタイプには「熱」を避け「涼」の食材が効果的です。
生体不足タイプで、細く、薄い体型にたるみのある、きゃしゃで痩せた人に多いタイプです。このタイプには「寒」を避け「温」の食材が効果的です。
エネルギー代謝が旺盛な実タイプで暑がりの人に多いタイプです。このタイプには「熱」を避け「涼」「寒」の食材が効果的です。
エネルギー代謝が不足した虚タイプで寒がりの人に多いタイプです。このタイプには「寒」を避け「温」の食材が効果的です。
体内に水分が余剰で皮膚が湿ってむくみやすい人に多いタイプです。このタイプには「寒」を避け「温」の食材が効果的です。
体内の水分が不足して皮膚は乾いて荒れやすい人に多いタイプです。このタイプには「熱」を避け「温」の食材が効果的です。
<memo>
体質と五性の関係で矛盾が生じる場合は対する性質の食材でバランスを取ります。例えば痰湿体質に「涼」の性質で利水の効能があるハトムギを使う場合は「温」の性質を持つ生姜を加えてバランスを整えます。